車の売却で大失敗！ 愛車の査定で自分では賢く査定したつもりだったのだが……大失敗した方法とは？
愛車が希望金額で売れたけれど…
一般的な中古車販売店で販売するクルマの仕入れ先は、通常は、お客さまから直接買い取った車と、オークション会場から仕入れた車になるはずです。しかし仕入先にも、その例外がいろいろ発生する場合があります。
その一つが、新車ディーラーの営業マンから仕入れる場合です。経験の長い営業マンほど、自分の信用する中古車販売店や買取専門店と懇意になっていることが多いようです。
というのは、新車を購入しようとしているユーザーのなかには、自分の希望する下取り価格を強く主張し、ディーラーの提示する下取り価格と開きがあり、差が埋まらないときがあるのです。
たとえば、３００万円の新車を購入しようとしているユーザーが、愛車の下取り価格として８０万円を希望しているものの、ディーラーは下取り価格として７０万円の提示しかできないということがあります。通常、新車ディーラーの提示する下取りの基本査定価格が、かなり低く抑えられているためです。
このユーザーの希望価格は、どこかから聞いた情報か、あるいはディーラーの下取り価格に適当に１０万円上乗せしたものであることも多いかもしれません。
そして、このユーザーが営業マンにどのように迫るのかというと、他のディーラーで購入するか、ライバル社のクルマを買うようなことを言うわけです。
で、営業マンは、１０万円のことで３００万円の商談を破談にしたくない！ので、高く買い取ってくれる中古車販売店や買取専門店にこの車を持ち込むわけです。これまでの付き合いもあり、買取店では十分納得してその車を８０万円で買い取ってくれるというわけです。
この場合、営業マンは新車の頭金として８０万円受領したこととして会社に報告します。もしくは、残額を全部受け取って、全額一括払いされたと報告することになります。
このように通常なら、営業マンに渡した車は下取り車として、新車ディーラーに入ってきて存在しなければならないのですが、何処かへ溶けるように存在しなくなってしまうのです。
これを「溶かし」と業界では呼んでいます。「溶（と）かし」は、新車ディーラーでは表向き存在していないということになっていますが、実態としてかなり行われているようです。
「溶かし」と「強欲」
「溶かし」が無くならいのは、３者にそれぞれのメリットがあるからです。
- ユーザーは、初期の希望価格で愛車を下取りに出すことができます。
- 中古車の買取店も、比較的良い車を安価で手に入れられ、これを中古車オークションに出品もしくは自社で販売すれば、８０万円で手に入れた車を１００万円以上で売却することもできます。
- 新車ディーラーの営業マンは、新車の商談をまとめて実績を上げることができます。ときに、この営業マンは、買取店からマージンを貰えることもあります。
では、３者にメリットがあるので、このような「溶かし」は万々歳なのでしょうか？ 当サイトの運営者は、そのように考えておりません。
このケースの場合、何が始まりかというと、ユーザーが新車ディーラーの下取り提示額が不満で、強欲にも下取り提示額の上乗せを企てたことです。あえて「強欲」という言葉を使いましたが、通常「強欲」というと、非常に欲が深い、という意味で使用されると思いますが、ここでは、当事者に合理的には不可能なことを強いる、という意味で使っています。この当事者＝新車ディーラーの営業マンは、会社の基本査定価格があり、これは動かせないものだからです。
世のなかには、いろいろ人に無理にお願いや依頼をすることはありますが、相手方のできる合理的範囲を超えてお願いするというのは、世の中をスムーズに回すということからみても、あまり褒められた行動ではありません。お願いや依頼をするほうは、相手方のできる合理的範囲を見極める努力が必要です。そうであってこそ、お互い人生は楽しいことが多く不愉快なことが少なくなります。
じゃあ、ユーザーが８０万円という、ディーラーの下取り額より１０万円高い金額を希望したことがいけないのか？ そうは思いません。誰だって少しでも高い価格で自分の愛車を売りたいものです。
では、どうしたらよいのか？ それは、希望や要求が充分に受け入れられる対象に、その希望や要求を向けるということです。それには、広く情報を集め、どこに自分の願いを叶えてくれるところがあるか、を探すことが重要です。
このケースの場合、ユーザーは愛車が、どうしたら高く売れるかを考えるときに、安易に目のまえに現れた新車ディーラーの営業マンだけを相手にし、営業マンの可能な合理的範囲はどこまでか、という見極めをする努力をしなかった、というところにあると思います。
たまには、ひとのことは知ったことじゃない、と思っている人もいますが、いくら商売のこととはいえ、少しは相手のことも考えてほしいものです。そしてほかに方法がないかを考えてみることです。そうすれば、意外にも、より得する道が開けるかもしれません。
そのようなケースが愛車を売却する場合です。愛車を売るのは、新車ディーラーに下取りに出すだけでなく、いろいろな方法があります。これを知れば、新車ディーラーの営業マンだけに強引にたのまなくてもよいのです。
そうすれば、８０万円という金額ではなく、１００万円という金額で、あるいはそれ以上の金額で売れる可能性だって充分にあったのです。
※なお、この場合、新車ディーラーにも大きな問題があると思うのですが、いつかまた、この問題にもふれたいと思っています。
